〇作品概要説明
主要人物4人。ト書き含めて約5000字。シェアハウスで暮らしている女の子達が料理しながら、わちゃわちゃしてる話。
〇登場人物
みき:まきと仲良し。メシマズ。大雑把
まき:みきと仲良し。メシマズ。ニンニクチューブ信奉者。語尾を伸ばす癖がある。
かなえ:シェアハウスのごはんは彼女によって支えられている。あらあらうふふ。
さくら:え?ごはんって用意してもらうものでしょ?一番年上。男癖が悪い。
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作者:七枝
本文
○台所にて。
みき:みきと~
まき:まきの~
みき:(同時に)20分クッキング!
まき:(同時に)20分クッキング!
みき:本日はここにいるまきと、はっぴーディナーの練習をしていきたいと思いまーす
まき:まぁす
みき:えーと、用意したのは、たまねぎ、にんじん、じゃがいも、豚バラ、大根、糸こん
まき:あとニンニクチューブ!
みき:え、いらなくない?
まき:いるよぅ。絶対いる!
みき:そ、そう?まぁ、いいか。じゃぁニンニクチューブと、しお、こしょう、めんつゆ、しょうゆ、みりん、料理酒、
まき:まき、アルコールだめなんだよねぇ
みき:でもお酒いるってかいてあるよ?
まき:なんのために?アルコールって何になるの?消毒?どうせ火を通すのだから、なくてよくない?
みき:……たしかに。
まき:ね!じゃぁ料理酒なしで。
みき:なしでいこうか。よし、材料はこれでいいかな。
まき:いいよ、完璧!まずは野菜きっていくんだよね~
みき:そうだね。どれくらいの大きさがいいかな?
まき:えーっとぉ、前かなえさんが作ってた時は「いちょう切り」にするって言ってたぁ
みき:いちょう切り?なにそれ?イチョウ型に切るの?枝の部分むずかしくない?
まき:ムズイ~カッターつかっていいかなぁ?
みき:洗っておけばいいでしょ。
まき:じゃぁ探してくる。
みき:いってらっしゃい
○さくらが帰宅。
さくら:ただいまぁ~かなえちゃん、きいてきいてー…ってありゃ?
みき:おかえり、さくら。
さくら:ん。ただいま。かなえちゃんは?ってか何故みきが台所に立ってるの?
みき:まきと料理練習。
さくら:ほっほーぅ?メシマズずぼら女子が二人そろって台所に立つとは…男か?
みき:ちがう。
さくら:照れなくたっていいよーぅ
みき:照れてないってば
さくら:うふふ。かーわいい。
みき:ちょっと!手をださないで!
さくら:どれどれ。何つくってんの?たまねぎ、にんじん、じゃがいも、豚バラ、大根、糸こんと……ニンニクチューブ?
みき:なによ。
さくら:んー、何つくんのかわからなくて。ニンニクチューブってことは洋食系?
みき:和食だけど
さくら:へーぇ?
みき:なによ、にやにやして。
さくら:いやぁ?メシマズ女子が二人そろって何ができるか見物ですなぁ。うひゃひゃひゃ
みき:はぁ?さくらだって、自炊しないじゃん!
さくら:私はおごってくれる人がいるからいいんだも~ん
みき:それにしては今日は随分お早いお帰りですこと!
さくら:あ、きいてくれる?今日の彼氏が最悪でさぁ。ヤバいとこにピアスつけてて、
みき:いい、いい。耳がよごれる。
さくら:失礼だなぁ。あ、ちょっとどいて。お酒とる。
みき:やだ、今からのむの?
さくら:かなえちゃんの絶品きんぴら食べたくて帰ってきたのに、メシマズ女子の失敗確定クッキングとか、飲むしかないっしょ。
みき:~~っ!さくらのばかっ
さくら:ひゃひゃひゃひゃっ!んで、かなえちゃんは?
まき:かなえさんは、いま買い物いってるよ。
みき:まき、見つかった?
まき:ん。あったぁ
さくら:え、まきちゃん。なんでカッターとか握りしめてんの?なにつくんの?
まき:えーっとぉ、いちょう切りすんの。
さくら:は?いちょうぎり?いちょうぎりになんでカッターいるの?包丁は?
まき:包丁だと枝の部分ができないじゃん?ねー
みき:ねー
さくら:うっわ、予想以上にヤバいもんができそう。動画とっていい?
まき:やだぁ
さくら:「やだぁ」かぁ。まきちゃんはかわいいなぁーよしよしよし
まき:やーめーてー
みき:ちょっと、酔っ払いはあっちいっててよ。まきは私と料理するんだから
さくら:まだ飲んでないです~つうか、こーんなにかわいがっているのにひどくない?おねーさんに彼氏ができたこともいわないなんてさぁ
まき:彼氏?なんの話?
さくら:やだなぁ、まきちゃんまで、おねーさんに内緒なのかい?うりうり。
まき:やーめーてーってばー
みき:いいから、さっさとあっちいってよ!
さくら:(わらう)やぁだよーこんなに面白いもんみなきゃ損じゃん。
みき:もういい。勝手にしてっ
さくら:勝手にするぅ
みき:むかつくっ
まき:みきぃ。さくらは放っておいて、ご飯炊いておこうよ。時間かかるよ?
みき:そうだね!まきえらい!
まき:えへへへ。
みき:じゃぁ、私がご飯用意するから、まきは先に具材きってて!
まき:はーい。
さくら:お?まきちゃん、いちょう切りすんの?がんばれがんばれー
まき:うん。えっと、イチョウの形にきるんだよねぇ?大根を。
さくら:そうかもねぇ
まき:よし、じゃーぁ、まず包丁で…えいっ!
さくら:おおぅ、イキのいい大根だこと
まき:あれぇ?飛んでちゃった
さくら:洗えばいいんじゃない?
まき:うん。えっとぉ…洗うって水で?洗剤使った方がいいかな?
さくら:………私は洗剤で洗った野菜は食べたくないかな
まき:そーお?洗剤で洗った方が綺麗になりそうじゃない?
さくら:うーん、とりあえずこのお姉さんを信じて、水で洗ってみようか
まき:え~さくらを信じるの?
さくら:あぅ。普段の行いの悪さがつきささる。たすけてぇ~かなえちゃぁん
SE:ドアの開く音。
かなえ:ただいまー
さくら:かっなえちゃぁーん!まってたよー!ずぼら女子の破壊クッキングがはじまっちゃってるのよぉ!なんとかして!
かなえ:あらあら?今日はいぶんお台所がにぎやかね?
まき:あ!かなえさん!帰ってきちゃったの?
かなえ:かえってきちゃいました。私お邪魔虫?
さくら:そんなことないないない!このままだと台所が破壊されちゃう!たすけて、かなえちゃん!
まき:その本音は?
さくら:おなかすいた!きんぴらつくって!
かなえ:あらあら、うふふ。
まき:ごめんなさい、かなえさん。勝手に台所荒らして。
かなえ:いいのよ、まきちゃん。もともと共用のお台所だもの。
まき:あのね、ごめんなさいついでにもう少し台所かりててもいい?
かなえ:それは構わないけれど……食材を買ってきたから冷蔵庫にいれていいかしら?
まき:うん、もちろん!
さくら:え、止めないの、かなえちゃん!
かなえ:さくら。もうお酒のんでいるの?
さくら:……うっ
かなえ:私いったわよね?夕食前にお酒飲まないで、って。
さくら:…そんなの、私の勝手じゃぁん
かなえ:そうね。だったら、さくらのつまみをださないのも私の勝手ね?
さくら:やだやだやだ!ごめんなさい、かなえちゃん!ごめんなさい!かなえちゃんのごはんが食べたいです!
かなえ:あらあら、それじゃあ、することはひとつね?
さくら:お酒は冷蔵庫にしまって、リビングで大人しくしてまっす!
かなえ:いいこね。
かなえ:さて、まきちゃん。ちょっと隣失礼するわね。
まき:うん。
かなえ:もやしとほうれんそうは野菜室、みきちゃんまきちゃん用のアイスは冷凍庫…さくら用の佃煮は冷蔵庫…あら、調味料がずいぶん消えてるわね。
まき:ごめん、かなえさん。今つかってるー!
かなえ:ああ、そうなの。しおとこしょうとめんつゆと醤油と…ニンニクチューブ?
まき:ニンニクチューブはすべての食材につかえる万能調味料だから!
かなえ:あらあら…ねぇ、まきちゃん。なにつくってるかきいていい?
まき:うん?いいよ、でもこれ焼いてからね!
かなえ:それは…だいこん?
まき:うん、いちょう切りにしたの!
かなえ:あらあら……うふふふ。ずいぶん細かい細工をしたのね。
まき:え?いちょう切りってこうするんでしょ?さくらもそういってたぁ!
かなえ:……さくら?
さくら:え、えへへへへ。なぁに、かなえちゃん?
かなえ:わかって言ってるわね?
さくら:なんのことだろ~?さくら、わかんなぁい。
かなえ:今更かわいいこぶっても無駄よ。許されたいなら今後2週間お酒抜きね。
さくら:え!やだやだやだぁ!かなえちゃんの横暴!鬼!悪魔!
かなえ:別に私はどちらでも構わないのよ。さくらの好きにしなさいな
さくら:…う。うううっ!かなえちゃん、ごめんなさーい!
まき:え?なに?私なんか間違ってた?
かなえ:ううん、いいのよ、まきちゃん。ちょっと個性的だけど食べれるわ。
まき:そ?じゃぁ焼いちゃおーっと!えいっ
○まき、油を大量に投入する。
かなえ:あ。
みき:(かなえのセリフにかぶせて)きゃーっ!!!泡がとまらないっ
かなえ:みきちゃん!?
さくら:え、みき?どうしたの?
みき:さくらぁ!かなえさぁん!たすけてぇ!!
○みきの前にある炊飯器から泡が出ている。
さくら:なにしてんの?
かなえ:みきちゃん、説明してくれる?どうしてこうなったの?
みき:わかんないの!私なんもしてないっ
かなえ:なんもしてなかったら、泡はでないでしょう
さくら:とりあえず電源とめて、イチから手順をさらってみたら?
みき:(泣きながら)う、うん。そうする……
かなえ:このお米はもう食べれないわね。って、あら?この香り…
さくら:洗剤の匂いがするねぇ
みき:え?だってお米って炊く前に洗うものでしょ?
かなえ:みきちゃん……もしかして洗剤でお米あらったの?
さくら:やっちまったな、みき……
みき:え?ええ?
○一拍おいて、まきの悲鳴。
まき:うわああああ!
かなえ:今度はなに!
みき:まき!?大丈夫?
○女三人が急いで元の場所に戻ると、まきの操ってるフライパンから火柱がでている。
まき:みんなたすけてぇ!!大根焼いてたら、火がきえなくなっちゃった!
さくら:ぎゃっーー!家事だあ!
みき:まき、早く避難してっ
かなえ:さくら、倉庫から消火器とってきて!みきちゃんは、テーブルクロスぬらしてきて!まきちゃんは避難!
さくら:わ、わかったっ
みき:はいっ
まき:かなえさぁんっ、フライパンどうしよう!
かなえ:いいからこっち!はやくっ
まき:はぁいっ
○間
さくら:ぜーはーぜーはー(荒い息)
みき:ま、まき、無事……?
まき:(涙まじりに)う、うん
かなえ:とんだ騒動になったわね……
みき:ごめんなさい、かなえさん
まき:私たち、お料理してみたくて
みき:こんなことになるなんて思わなかったの
まき:ほんとうに
みき:ごめんなさい
かなえ:(ふかいためいき)それで、ふたりは何をつくりたかったの?
まき:今回作りたかったのはね、
まき:(同時に)豚汁!
みき:(同時に)肉じゃが!
○間。
みき:え、豚汁…だよね?
まき:肉じゃがだよぉ?
みき:え?
まき:えええ?
さくら:なにそれ!最初から全然ちがうもん作ろうとしてたんじゃん!ひゃひゃひゃっ
かなえ:こら、さくら。
さくら:だってほんとに面白いんだもーん
まき:え?だって、豚汁に糸こんは入れないよぉ?材料でわかるでしょ、みき。
みき:うちは入れる家庭だったの!それをいうなら肉じゃがに、ニンニクチューブはありえないよ、まき!
さくら:どっちもニンニクチューブはないわ。
かなえ:ふたりともレシピをみて作ろうと思わなかったの?
みき:うん。よく食べる料理だから大丈夫だと思って
まき:いつもかなえさん作ってくれるから、たまには私たちが、って思って。
みき:あ、まき。
まき:あ、うっかり。
さくら:なにそれぇ…
かなえ:ふたりとも、わたしのために……?
まき:えへへ。
みき:結局うまくできなかったけどね。
さくら:やだぁ!ふたりともかわいい!かなえちゃんと私のために料理をつくってくれようとしてたなんて!
まき:さくらの分はなかったよ?
さくら:え。
かなえ:うれしいわ、二人とも。でもそれなら今度からは私にいってね。料理なら教えてあげることできるから。
まき:え、でもぉ
みき:それじゃぁ、かなえさん休めない……
かなえ:誰だって最初は初心者。なにもわからないものよ。そういうときはわかっている人に教えてもらうのが手っ取り早いの。徐々に慣れてから、料理を担当してくれればいいし…それに、きっとみんなでお料理つくるのは、楽しいわ。そう思わない?
みき:うん!
まき:今日もたのしかった!
さくら:私の分もおねがいね~かなえっちゃん!
まき:さくらもいっしょにつくろ?
みき:働かず者は食うべからず
かなえ:あらあら、うふふ。
さくら:え?かなえちゃん?
かなえ:だ、そうよ。さくら。
さくら:え、えええ~
かなえ:(N)そうして女四人シェアハウス暮らし。家事をしたりされたりしながら、今日もみんなで協力しあって、元気に仲良く暮らしています。
さくら:料理なんてつくってもらうもんでしょ~よ。できなくても死なない、死なない。
かなえ:じゃぁ貴方はこのシェアハウスで他に何をするの?
さくら:え、えーっと、ムードメーカー担当、とか?
かなえ:さて、買い出しついてきなさいね、さくら。
さくら:はぁーい。
○おしまい。
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